第20章 呪胎戴天
伊地知さんに連れられ、私たちがやってきたのは……。
「……少年院」
野薔薇ちゃんが建物を見上げ、呟いた。
その言葉につられるように、私も建物を見上げる。
さっき車の中で伏黒くんと一緒に事前情報を端末でチェックしたから、場所も行方不明者の情報も把握していたけど。
実際に来てみると、やっぱり思い知る。
(呪いの気配が濃い)
場所が場所だけに、呪いの量も質もレベルが高い。
ズキズキと刃物で刺されたような痛みが身体にかかる。
(でもこれは……想像以上なんだけど)
ある程度の呪力は想定していたけれど。
この呪力の気配はおそらく普通じゃない。
私たちの中で一番等級が高いのは2級の伏黒くん。
私と虎杖くんは秘匿死刑中の仮呪術師って扱いで等級自体与えられてないし、野薔薇ちゃんもたしか3級。
だから私たち4人に与えられる任務としては2級以下が妥当のはず。
けど……。
(これは……2級の呪力の気配じゃない)
私がゴクリと唾を飲んだら、私の隣を歩いていた伏黒くんがその場に立ち止まった。
「伊地知さん」
そのまま、伏黒くんが静かに伊地知さんを呼び止めた。
「どうかしましたか? 伏黒君」
「綾瀬はここに置いていっていいですか?」