• テキストサイズ

【呪術廻戦】無下限恋愛

第20章 呪胎戴天


「つーわけで、伏黒も参加ね」

「俺は行かない」


 今のやり取りを、おそらく伏黒くんも聞いてたはずなんだけど。

 そっけなく断った伏黒くんに、また野薔薇ちゃんが青筋を立てた。


「はぁ? 何よ、メイド喫茶のほうがいいってか?」

「言ってねぇ」


 伏黒くんは目を逸らして、否定する。

 このあいだ私と野薔薇ちゃんがアメ横に行けなかった時、伏黒くんは虎杖くんとメイド喫茶に行ったみたい。

 五条先生が笑い転げながら拾った写真を見せてくれた。

 伏黒くんと虎杖くんとメイドさんのスリーショット。


「でもメイド喫茶楽しかったぜ? な、伏黒」

「俺に話を振るな」

「そうよ、虎杖。ムッツリが堂々と答えるわけないじゃない」

「マジでうるさい」


 2人に煽られて伏黒くんが苛立つのもいつも通り。


「はぁ、仕方ないわね。……皆実、アンタもどうせなら4人がいいでしょ?」


 野薔薇ちゃんがうんざり顔で私に話を振ってくれる。

 別に野薔薇ちゃんと2人でも楽しいからいいんだけど。

 でも、どうせなら……。


「うん、伏黒くんも一緒がいい」


 そう答えたら、虎杖くんが「俺は!?」って的外れなツッコミを入れて野薔薇ちゃんに叩かれてた。

 伏黒くんは頬杖をついて、窓の外を見たまま。

 私の声かけもやっぱり完全無視してる。

 そう思ってたんだけど。


「……付き添えばいいんだろ」


 小さな声で伏黒くんがそう呟いた。

 それを聞いてた野薔薇ちゃんと虎杖くんが顔を見合わせて、瞬間的にニッと笑う。


(あ……これはまた伏黒くん怒らせるやつだ)


 そんなことまで分かるくらい。

 4人でいる時間が当たり前で、楽しくて。

 だから……。


 ガラッ


 教室の扉が開いて、現れたのは黒服の伊地知さん。


「一年生の皆さん、至急準備をしてください」


 教室の中の明るい空気とは真逆の、落ち着いた静かな声。

 少し緊張感のある、その声が、私たちに告げた。


「実践任務です」


 みんなと一緒なら、どんな任務も大丈夫だって、信じて疑わなかった。
/ 612ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp