第20章 呪胎戴天
高専の一年生の教室はいつも賑やか。
「皆実、今度の休日こそ絶対にアメ横でフルーツ食べまくるわよ!」
野薔薇ちゃんが私の隣でスマホを弄りながら呟く。
チラリと見えたスマホの画面には『#アメ横スイーツ』という検索項目と色とりどりの綺麗な写真が映ってた。
この前もたしか、野薔薇ちゃんにアメ横に誘われた。
でも結局、アメ横に行く途中で五条先生に邪魔されてしまい、一年生4人で廃テナントの呪霊祓いという実践演習をさせられた。
私は安定に役に立たなかったけど。
「そこのむっつりスケベどもも行くわよ」
野薔薇ちゃんが虎杖くんと伏黒くんにも声をかける。
すると間髪入れずに返事がとんできた。
「俺はむっつりスケベじゃねぇよ! 結構人並みにオープンにしてると思う」
虎杖くんはアメ横に行く行かないの返事ではなく、野薔薇ちゃんに言われた『むっつりスケベ』への返事をくれた。
野薔薇ちゃんは「聞いてねーわ」って半目で天井を見上げてる。
(たしかに、虎杖くんは寮の部屋にも堂々とグラビア貼ってたしなぁ)
虎杖くんの言う通り、虎杖くんはそういうところはわりとオープンにしてる。
(でも伏黒くんは……)
考えてすぐに、とある日の記憶が蘇ったから。
瞬間的に考えるのをやめた。
ちなみに伏黒くんは野薔薇ちゃんの発言を完全に無視してる。
「じゃあ虎杖は来るとしてー」
「まだ回答してねぇけど」
「は? 私は本来このあいだアメ横に行ってたはずなのに、アンタたちが五条の周りウロチョロしたせいで行けなかったんじゃない。責任取れよ」
「オマエって、なんでいつも喧嘩腰なの?」
虎杖くんと野薔薇ちゃんのやり取りはいつも通り。
そして野薔薇ちゃんが伏黒くんに声をかけた。