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【呪術廻戦】無下限恋愛

第20章 呪胎戴天


「ねえ、皆実」

「はい」

「このクッキー、パサパサしてんだけど」

「クッキーってパサパサしてるものじゃないですか?」

「ちゃんとクッキー食べたことある?」


 そう口にして、五条先生が今度は紅茶味のクッキーに手を伸ばした。

 いやパサパサしてるっていうならもう食うなよ。


「口の中の水分全部持っていかれるんだけど」

「カフェオレ飲めばいいじゃないですか」


 文句を言うのはやめず、五条先生はまた新たなクッキーに手を伸ばした。

 文句たらたらだけど、五条先生はクッキーを食べ続ける。


「これから出張行くのに、皆実との最後の思い出がこのパサパサクッキーって最悪じゃない?」

「失礼すぎて最悪ですよ。私は普通に美味しく食べてます」

「そのバカ舌、一回硝子に診てもらったら?」


 散々言い散らかして、五条先生はカフェオレを飲み干す。

 気づけばクッキーはなくなっていた。


「てなわけで、皆実」


 五条先生が私の飲んでるカフェオレを取り上げる。

 そして、コップをテーブルに適当に置いて、私の頰に手をかけた。


「皆実との思い出を上書き修正」


 五条先生の唇が私の唇に触れる。混ざり合う唾液の流れに任せて、私の呪力が五条先生に流れていく。


「……んっ」


 五条先生はわざとらしく音を立ててキスをする。


「皆実のキス顔……マジでエロいよね」

「五条、先生……こそ」

「誰と比べてんの、それ」


 その言葉、そっくりそのまま返してやりたいのに。

 言葉は全部五条先生に塞がれた。

 言葉にならない声が唇から漏れていく。

 ただ呪力を流すだけの行為なのに、五条先生とすると、感情がそれだけで済まなくなるから嫌だ。

 触れられてる感触だけでも苦しいのに、聴覚まで刺激されたら頭がバカになる。

 そのまま五条先生に身を任せていたら、ソファーの上に身体が転がった。
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