第17章 大波乱⭐︎一年生親睦会
優しく触れ合う唇が、小さく音を立てる。
なんで今、キスするの。
全然空気読んでくれないの。
キスの文句なんていくらでも出てくるのに、なんで私は目を閉じちゃうんだろ。
「……皆実」
唇を合わせたまま、五条先生が私の名を呼ぶ。
「まだ……傑のことが好き?」
キスしておいて、そんなこと聞かないでよ。
好きに決まってるじゃん。
大好きだよ。その気持ちは変わらないよ。
変わらないけど、でも……。
「でも、僕のことも好きでしょ?」
傑さんとのキスは私を安心させてくれたのに。
五条先生とのキスは、心臓が壊れそうになるから。
その理由なんて、バカな私でも分かるくらい簡単なことなの。
でも、そんなこと言えるわけないから。
「……知りません」
「いい加減素直になってよ」
五条先生がクスクス笑うから。
その顔をどうにか歪ませたくて、五条先生の頰に手を伸ばした――瞬間。
遠くで大きな音がした。
「……お、花火だね」
夜空に綺麗な花が咲いてる。
思わずそっちに意識をとられて、五条先生から離れようとしたら。
「バカ。皆実はこっち」
五条先生の頬に伸ばした手を握られて。
そのまま先生の首に回すように引っ張られた。
「花火じゃなくて、僕を見なよ」