第17章 大波乱⭐︎一年生親睦会
せっかく綺麗な花火だから。
今くらい景色を楽しめばいいのに。
そんなことを思いながら、五条先生とのキスを止められない私も、大概なんだけど。
「ね、皆実」
キスをしながら、五条先生は器用に私の名を呼ぶ。
「……傑の次でいいよ」
さっきの話の続き、そう言って五条先生がまた私の唇を舐める。
五条先生の手が私の頰から髪を掻き分けるみたいにして、後頭部に滑った。
「2番目でいいから……僕のことも、少しは想ってよ」
余裕そうな顔で私のこと見下ろして。
でもその瞳だけは、ちゃんと熱を帯びて揺れてる。
「皆実の全部……僕にちょうだい」
全部あげたって、きっと五条先生が私にくれたものの対価にはならない。
どうしたって足りないんだけど。
それでも……。
五条先生が望むなら。
「……五条、先生」
返事の代わりにキスを返す。
夜空に咲いた花だけが、私たちの密やかな約束を見てた。