第17章 大波乱⭐︎一年生親睦会
また、私の心を読んで。
その言葉が気遣いだって、分かるのに。
嘘でも嬉しくて。
溢れる涙を止める方法が分からなくて。
「私……」
大好きだった。
あの日もずっと待ってた。
誰も来ない丘の上。
あの人が帰ってくるのを、ずっと、ずっと待ってた。
「私は……傑さんの悔いに、なれましたか?」
呪術師が死ぬ間際に描く後悔。
私を迎えに来るって約束が、もしも傑さんの後悔になったのなら。
私との約束が傑さんをちゃんと縛ってくれてたんだって。
子どもと交わした口約束なんかじゃなかったんだって。
『皆実』
笑顔の傑さんが頭に浮かぶ。
でも、揺らいだ視界の先に、傑さんはいなくて。
困り顔で笑った五条先生が、私の頰を支えたまま、私にキスをした。