第17章 大波乱⭐︎一年生親睦会
始まりを辿れば、全部五条先生にたどり着く。
きっと感謝してもしきれない。
五条先生と出会わなかったら、私はこんな世界を知らないままだった。
「こんな世界も、悪くないでしょ」
悪くないどころか、ケチつけようがないくらい最高だから。
自信満々の顔に文句言いたいのに、何も言えないじゃん。
世界がこんなにもキラキラしてるの。
あの人が作る世界でしか、きっと私は幸せになれないって、信じてたのに。
『待ってて』
あの人が作る世界を、ずっと待ってたのに。
私は何も知らないだけだった。
「こんな世界があるって、あの人にも教えてあげたかったです」
案外、世界は捨てたもんじゃないって。
カラフルに色づく世界もちゃんとあるって。
「この景色を、見せてあげたかった」
遠くでまだキラキラと光ってる、パレードの明かり。
そこに呪いなんて全然存在しないの。
手に持った、ストロベリーミルクの氷が溶けてコロンと音が鳴る。
「アイツはちゃんと知ってたよ。この世界にも綺麗な景色があること」
五条先生は呟くように答えた。
視線はまっすぐ前を見て、遠くの輝きを見つめてる。
「知ってたから……皆実みたいな子たちにこの世界をあげようとしたんだ。それ以外を全部排除して。……アイツも大概バカだよ」
そうやって苦笑する五条先生は、儚げで。
揶揄する言葉が、ただただ優しくて。
ああ、やっぱり。
「五条先生は……仲が良かったんですね」
きっとこの人が、そうだったんだ。
「傑さんと」