第17章 大波乱⭐︎一年生親睦会
「任務中にこんなの送られてきて、僕がどんな気持ちで呪霊祓ったか分かる?」
五条先生のスマホに映るのは、伏黒くんと手を繋いで歩く私。
差出人は野薔薇ちゃんだった。
「任務中にスマホ見ないでくださいよ」
「人の任務中に別の男とイチャつくほうが悪いでしょ」
五条先生が肩をすくめて、小さく息を吐く。
「『五条先生がいいです♡』とか言っといて、マジでヒドいよね」
「言ってな……」
いや……言ったか。
言ったけど、結構前だし。
そんなデレデレした感じでは言ってないし。
そもそもあれは五条先生が怒ってたからで……。
「何顔赤くしてんの。熱ーい仲直り思い出しちゃった?」
ニヤリと笑って、私の顔を覗き込む。
ヒドイのはどっちだよ。
こんなに人のことからかっておいて。
「でもさ、これでもマジでヘコんだんだよ」
五条先生は座り直して、豪快に脚を組む。
そうしてスマホの画面を数回スライドさせて、苦笑した。
「こんなカワイイ笑顔は僕にだって見せたことないのに」
五条先生が見つめるスマホの画面。
そこには水飛沫を浴びた4人が映ってる。
笑顔の私が、そこにいる。
「僕が皆実を笑わせるって約束したのにさ。……僕の前ではひねくれてばっかで全然笑ってくれないし」
五条先生はスマホの画面を閉じて、タピオカを静かに飲んだ。
「僕の知らない皆実が、どんどん増えてくね」
五条先生は明るい声音で、でも少しだけ憂いを帯びた声で、そう言った。