第17章 大波乱⭐︎一年生親睦会
「……タイミング悪すぎでしょ」
伏黒くんが、ため息まじりにそう呟いた。
伏黒くんの肩に腕を回して、五条先生が笑ってる。
「あらま、邪魔されて怒ってる?」
サングラスを少し下にずらして、五条先生が伏黒くんの顔を覗き込む。
格好は任務に出て行った時の服のまま。目隠しだけはお洒落サングラスに変えて。
五条先生が現れた。
「若人の青春を取り上げるつもりはなかったんだけどさ。ごめんね、恵」
そう言って、五条先生が私と伏黒くんの繋いだ手に、腕を伸ばす。
私たちの繋がりに触れて、ゆっくり解いた。
「これは僕の役割だから」
五条先生の大きな手が私を包む。
五条先生の指が、私の指に絡んで。
まだ伏黒くんの温もりを帯びてる私の手を、ギュッと握りしめた。
「皆実は……返してもらうよ」
その手の温もりに、どうしようもなく安心してしまって。
引かれる手に体ごと預けてしまいたくて。
五条先生の手を握り返した私を、伏黒くんがじっと見てた。
「伏黒くん」
自分から一緒にいてと言っておいて、私は伏黒くんを置き去りにしようとしてる。
こんな身勝手な私を、伏黒くんは責めていいのに。
呪ったってバチ当たらないのに。
伏黒くんはそれでも私に優しい視線をくれた。
「行けよ。……虎杖と釘崎には俺から言っとくから」
伏黒くんが眉を下げて笑う。
⦅俺の手も……一度くらい握り返せよ⦆
私の頭をコツンと小突いた、伏黒くんから流れてくる負の感情は、どこまでも優しかった。
【一年生親睦会 開始から10時間後――綾瀬皆実 途中離脱】