第17章 大波乱⭐︎一年生親睦会
「今日一日が本当に楽しかったって、伝えたいの」
五条先生の知らない私を、五条先生に知ってほしくて。
(ほんと、五条先生のことばっかり)
今がすごく楽しいのに、私はどうしても五条先生のことを頭から切り離せない。
五条先生がここにいたら、なんて。
考えても仕方のないことなのに。
どうしても考えちゃうの。
「……綾瀬」
伏黒くんが私の手を握り直す。
私の指に伏黒くんの指が絡まって、しっかりと繋がれた。
「俺もオマエに頼みがあるよ」
パレードが私たちの前を通り過ぎていく。
人混みの向こうで綺麗な光が揺れている。
「……今日くらい、五条先生のこと忘れて」
繋いだ手から、伏黒くんの呪力が流れてくる。
小さな小さな呪いの声が、その言葉の意味を私に伝えようとしてる。
でも私は、その答えを知りたくなくて。
伏黒くんが繋ぎ直した手の意味を、考えては否定して。
伏黒くんの瞳が熱を帯びて揺れてるのも。
繋いだ手が、どんどん温もりを抱くのも。
全部私の気のせいだって。
伏黒くんの気持ちに、私はちゃんと向き合わなきゃいけないのに、それができなくて。
(ごめんね、伏黒くん)
私はやっぱり最低なんだよ。
「皆実が忘れるわけないだろ。大好きな僕のこと」
五条先生の顔を見たら、どうしたって五条先生のことしか考えられなくなるの。