第17章 大波乱⭐︎一年生親睦会
私は伏黒くんを見上げる。
対する伏黒くんは不思議そうに私を見下ろした。
きっと、私が1人でここに残ることは許してくれないだろうから。
「私と、ここからパレード見てくれる?」
もしかしたら、伏黒くんは口では興味なさそうに言ってただけで、虎杖くんや野薔薇ちゃんと同じくらいパレードを観たかったかもしれないけど。
今、私がそれを頼めるのは伏黒くんだけで。
こんな図々しいお願いをしても伏黒くんなら許してくれるかなって。
(気安い……かな)
少し不安に思ったけど、伏黒くんが薄く笑ったから。
不安はすぐに消えてなくなった。
「当然。……俺が綾瀬を見とくから、オマエら2人は前列行ってろ」
伏黒くんが私の手をギュッと握ってくれる。
今回ばかりは、虎杖くんも野薔薇ちゃんも、そんな伏黒くんをからかうことはしなくて。
「後でパレードちゃんと見てたか、テストするから!」
「何かあったらすぐ言えよ?」
2人は人集りをうまく避けて、前列に向かっていった。
「ありがとう、伏黒くん」
2人の姿が見えなくなって、私は伏黒くんにそう告げる。
伏黒くんの返事は「別に」って、たったそれだけ。
伏黒くんらしい返事に、私は小さく笑った。