第17章 大波乱⭐︎一年生親睦会
「野薔薇ちゃん? ……いっ、た!!」
野薔薇ちゃんの指が綺麗にバチーンと私の額を弾いた。いわゆるデコピンだ。デコピンだけど、めちゃくちゃ痛い!!
「謝るのナシって言ったでしょ、バカ」
野薔薇ちゃんがそう言ってまた座り直す。
「ったく、不幸話が長すぎ。もうちょっと掻い摘んで話しなさいよ」
額を押さえた私を見て、野薔薇ちゃんがフンっと鼻を鳴らした。そんな野薔薇ちゃんの隣で虎杖くんも大きく伸びをした。
私そんなに長話しちゃったかな。
「やっぱ俺には、皆実の言ってる『好き』の違いがいまいちよく分かんねぇんだよなぁ」
そう呟いて、虎杖くんは少し身を乗り出す。
私と視線を合わせて、笑った。
「でもさ、俺は皆実のこと好きだし、だからこそ仲良くなりてぇと思ってる。……伏黒もそうだろ?」
「俺に話振るな」
「なんで他人事なの。アンタも何か言いなさいよ。一番皆実に対して下心満載なんだから」
「……釘崎、後で覚えとけよ」
伏黒くんは釘崎さんを睨むと、私に視線を向ける。
鋭い視線が、棘を抜かれたみたいに、優しく変わって。
「……別にいいだろ、昔のことなんて」
「伏黒、アンタねぇ!」
「今は、コイツらいるし……五条先生も、俺もいる」
伏黒くんはそれだけ言うと、頬杖をついてまた他所を向く。
その耳が少しだけ赤くなってて、その反応が私の心をポカポカにした。
たった一言だけど、それはすごく嬉しい言葉で。
今の私には、こんなにも味方がいるんだって、言ってくれてるみたいだった。