第17章 大波乱⭐︎一年生親睦会
幸いにも、伏黒くんは額に小さなタンコブを作っただけで済んだ。
というわけで、親睦会は続行。
偽ダブルデートも継続となった。
「釘崎! 次、あれ乗ろうぜ!」
「ッシャー! 行くぞ、虎杖!」
次の行先を決めるときだけは、虎杖くんと野薔薇ちゃんの息がぴったりだ。まあ喧嘩の時も息ぴったりなんだけど。
私は伏黒くんと一緒に、2人の後ろをついていく。
2人に連れられてたどり着いたのは『山の頂上から河川に落ちていく』というシチュエーション設定の急流滑り。
イカダみたいなコースターに乗った人たちが、ずぶ濡れになってる。
「皆実はこれ着なよ。男どもは知らん」
野薔薇ちゃんに透明のカッパを渡された。
服が汚れるのは嫌だから、と野薔薇ちゃんも同じカッパを身につけてる。
結構行列ができてるなーと思ってたんだけど、回転が早いのか。
そんなに待たずに、私たちの番が回ってきた。
「端が濡れやすいから、虎杖、私、皆実、伏黒の順で並んで乗るよ」
「釘崎、さっきから俺らの扱い酷くね? 俺らも別にめちゃくちゃ濡れたいわけじゃねぇよ? つーか、オマエはカッパ着てんだから多少濡れても良くね?」
虎杖くんが静かに訴えたけど、野薔薇ちゃんに睨まれると、黙って端っこに乗り込んだ。
さっき乗った宇宙空間に入ったみたいなコースターは猛スピードで走って爽快感がすごかったけど。
今回の急流滑りはかなり静かだ。
コースターの動きといい、周囲の風景といい……ゆっくりすぎるくらいゆっくり。