第17章 大波乱⭐︎一年生親睦会
「虎杖くん?」
「ダメだ。コイツが皆実好きすぎて出てくる」
虎杖くんが絶望した顔で自分の掌を睨んでる。
もしかして、宿儺が手に現れた?
「クッソォ! テメェのせいで皆実と手繋げねぇじゃねぇか!!」
虎杖くんは白昼堂々自分の手に向かって怒鳴ってる。
やばいよ、虎杖くん。何も知らない人から見たらただのヤバい人だよ。
現に、意味の分かってない野薔薇ちゃんが、すごく悲惨な顔で虎杖くんを見てる。
そしてそのままぎこちなく首を回して、野薔薇ちゃんが私たちのほうを見た。
「アイツ……誰と喧嘩してんのよ」
「特級呪物」
相変わらず、伏黒くんは冷静に答えた。
「虎杖、呪物と喋るとかキモいことしてんじゃないわよ」
「俺だってしたくねぇよ! でもうるせぇんだよ!」
「オメーがうるせぇんだよ!!」
息ぴったりに、野薔薇ちゃんと虎杖くんが喧嘩してる。
でもそれにも疲れたのか、野薔薇ちゃんが小さなため息を吐いて。
そしてニヤリと口角を上げた。
「でもそうね。虎杖が無理なら、伏黒が皆実の手繋ぐしかないでしょ」
「は?」
伏黒くんが固まった。
そうして野薔薇ちゃんが私の手と、伏黒くんの手を引っ張って、そのまま繋がせる。
伏黒くんの少し冷たい手に私の手が包み込まれる。
「これで、よし!」
「よくねーー! 伏黒だけずりー!」
虎杖くんが頭を抱えて叫んでる。
いや、これはどっちかっていうと罰ゲームじゃない?
たぶん伏黒くん絶望して固まってるよ、これ。
伏黒くんの顔を見上げてみたけど、伏黒くんはまっすぐ前を向いて固まってた。……嫌すぎてもはや放心状態じゃん? 大丈夫??