第17章 大波乱⭐︎一年生親睦会
伏黒くんは虎杖くんと同じくファンキャップをかぶってる。
真っ白なマシュマロみたいな形に真っ黒の丸が2つ……これ、目? 何のキャラクター?
(てゆーか……似合ってる)
伏黒くんの、白いTシャツに細身の黒ジーンズというシンプルかつラフな格好に自然とマッチしてしまってる。
伏黒くんのことだから「絶対かぶらない」って言いそうだなって思ってたんだけど。
ちゃんと被ってる……というか、被らされてる?
(ん?)
そういえば伏黒くんがさっきから一言も何も喋らない。
というか固まってる?
なんか、私とずっと視線は合ってるんだけど……。
「伏黒くん?」
「伏黒? おーい、伏黒! なんで固まってんの!?」
虎杖くんが伏黒くんの前で手を振る。
すると伏黒くんはビクッと肩を揺らして真顔で「ああ、悪い」と口にした。
「何か話しかけたか?」
「ホント大丈夫かよ……。皆実のコレ、どう思うかって聞いてたんだけど」
「……ああ」
虎杖くんが説明すると、伏黒くんが私から視線を逸らした。
(どうしよう……相当似合ってないんじゃないかな)
「チッ……何か言えよ、伏黒。似合ってんのか、似合ってないのか」
野薔薇ちゃんがイラついて、荒い口調で告げる。すごい迫力だ……。
「無理にコメントしなくていいから! もっと普通のにしよう!」
空気が悪くなるのは嫌だったから。
伏黒くんと野薔薇ちゃんの間に割って入った。
伏黒くんは依然、私から目を逸らしたまま。
そんな伏黒くんの顔を覗き込んで、私は苦笑する。
「ごめんね、伏黒くん」
伏黒くんはこういうノリは嫌いだよね。
知ってるから、ちょっと申し訳なくて。
私が謝ると、伏黒くんが自分の顔を抑えてため息を吐いた。
「違う。そうじゃなくて……」
伏黒くんが顔を真っ赤にして呟く。
「すごく似合ってる、けど……露出しすぎだろ」
「イヤ、誰も服の感想聞いてねーわ。このむっつりスケベ」
伏黒くんのコメントに、すかさず野薔薇ちゃんが突っ込んだ。