第17章 大波乱⭐︎一年生親睦会
「洋服……!」
私服がない私は、素直に喜んだんだけど。
喜びも束の間。
私はその服をマジマジと見つめて、固まった。
「いやー、毎回我ながらセンスあると思うんだよねぇ。皆実に絶対似合う」
「嫌がらせですか?」
「なんでだよ」
どう見ても、嫌がらせなんだけど。
五条先生が私にくれた私服を簡潔に例えるなら、『露出狂』だ。
おそらく上の服になるだろう白い服は、フリルが多いし、なぜか肩の部分が存在しない。なぜ?
どうやって着るの、これ。腕で服を支えるのかな? ずり落ちない?
「それオフショルっていうんだよ。肩出して着るやつ」
私の混乱を察したのか、五条先生が解説してくれた。
オフショル……オフショルダーってこと? 肩がオフされてんの??
「皆実、ファッションに疎すぎじゃない?」
「私、昔から服のバリエーションはTシャツとジーパンとジャージと制服しかないです」
「素材の持ち腐れもいいとこでしょ」
五条先生が呆れたように笑う。
流行りなのか知らないけど、露出多すぎるよ。
しかも、この袖の長さだと腕が隠れないんじゃないかな。
私は左腕を摩る。
私の左腕にある消えない注射痕はあんまり人に見せたくないから、私は長袖しか着ないんだけど。
「だいじょーぶ、だいじょーぶ。袖は七分丈だからギリ隠れるよ」
私が気にしてることを察して五条先生が教えてくれる。
そんなことまで分かってて選んだのかと思うとさらになんとも言えない気持ちになった。