第16章 鉄骨娘
※皆実視点
呪霊の気配が消える。
床にペタリと座り込んだ私の目の前で、虎杖くんと釘崎さんが喧嘩してた。
「だから言ったろ! 一人は危ねー真面目にやれって!」
「一人は危ないなんて言われてないわよ!」
「言っ……てなかった!?」
うーん。
言ってたような、言ってなかったような。
たしかに真面目にやれとは言ってたけど。
「つーか何食って育てば素手で壁ブチ破れんのよ!!」
「鉄コンじゃなかったんだよ!!」
「鉄コンじゃなくても無理よ普通!! アンタもアンタよ! なんで普通に壁を破壊してくると思うのよ! バカでしょ!」
釘崎さんが私のほうを振り向いて怒鳴った。
たしかにそうなんだけど。
「虎杖くんなら壁くらい壊すかなって」
「壁くらいって考えがおかしいって言ってんの!」
釘崎さんが「意味わかんない!」って叫ぶ中、虎杖くんが大きくため息を吐いて、そして吸い込んだ。
「俺も、しこたま聞かれたけどさ、オマエなんで呪術高専来たんだよ」
「田舎が嫌で東京に住みたかったから!!」
釘崎さんらしい理由に、私は思わず笑ってしまった。
対する虎杖くんは呆気に取られてて。
「そんな理由で命懸けられんの?」
「懸けられるわ。私が私であるためだもの」
そう告げる釘崎さんは、やっぱり凛々しくて綺麗だった。