第16章 鉄骨娘
虎杖くんと分かれたフロアから2つ上くらいの階。
そこで釘崎さんが私を離した。
「じゃあ、アンタはこのあたり見回って。私は一番上から見てくるから」
「はい」
釘崎さんは冷静に指示して、静かにフロアを上っていく。
(脚長いなぁ……)
釘崎さんの後ろ姿を見送って、のんきにそんなことを思った。
その時。
《ケラケラケラケラ》
不気味な笑い声。
振り返ると、でかいバケモノ蛙に毛が生えたような、そんな姿の呪霊がそこにいた。
(でかい……っ)
前の高校に現れた、私の血を吸った呪霊と姿が少し似てる。
(虎杖くんか、釘崎さんを呼ばなきゃ……)
大声を出そうとしたけれど。
呪霊が私に襲いかかってきた。
呪霊を避けようとしたら足が絡まって、私はその場に倒れてしまう。
倒れた私に寄り添って、呪霊が私の首に爪を突き立てるけど。
私に触れた瞬間、呪力を帯びた爪がボロボロと溶けていく。
《怖い、怖いヨォ》
触れたところから流れてくる大きな恐怖の声。
(う……っ)
私はベルトに固定していた小刀を手に取って、呪霊に向かって振りかざす。
すると、呪霊がヒョイっと飛びのいた。
「……っ!?」
呪霊が私に手を振って、壁の中に消えていく。
やばい、逃げられた!!
コイツ、壁をすり抜けて移動できるんだ……っ!
(私の役立たず!)
さっきの呪霊の呪力は私の中にある。
体内に流れる呪いの流れを追えば、同じ呪力の気配が上のフロアに向かってるのが分かった。
(釘崎さん、ごめん!!)
私は急いで階段を駆け上がった。