第16章 鉄骨娘
「ちょっと待てよ。もうちょい真面目にいこーぜ。呪いって危ねーんだよ。知らんのか?」
私の斜め上方で『カッチーン』って音がした気がする。
その方向、釘崎さんの顔を見上げたら、こめかみに青筋が立ってた。
「最近までパンピーだった奴に言われたくないわよ! さっさと行け!」
釘崎さんは虎杖くんに吠えて、虎杖くんを階段から蹴り飛ばした。
(わお)
虎杖くんがすっごい勢いで飛んでった……脚力すごい。
私が他人事みたいにそんなことを思っていると、前のめりにすっ転んだ虎杖くんが即座に釘崎さんのほうを振り返った。
「今日ずっとオマエの情緒が分かんねーんだけど!」
「だからモテないのよ」
「なんで俺がモテねーの知ってんの!?」
虎杖くん、モテそうだけど……意外。
いや、そんなのはどうでもいいんだ。
「虎杖くん、大丈夫?」
私が転げた虎杖くんに駆け寄ろうとしたら、釘崎さんに首根っこを掴まれた。
「く、釘崎さん?」
「アンタはもう少し上のフロア。ほら行くよ」
釘崎さんに引きずられながら、私は上のフロアへ上っていった。