第16章 鉄骨娘
呪霊の住処。
相当量の呪いの気配が漂う場所。
「あ゛〜タルっ」
それなのに私は漂う呪力に刺される痛みよりも、隣を歩く釘崎さんのイライラオーラの方が怖かった。
「なんで東京来てまで呪いの相手なんか……」
「呪い祓いに来たんだろ?」
虎杖くんがキョトン顔で答えてる。
(いや、そうなんだけどね)
虎杖くんの返事は間違えてないんだけど、たぶん今、釘崎さんが求めてる返事はそういうのじゃない。
釘崎さんは小さくため息を吐くと、虎杖くんの方を振り返った。
「時短時短。二手に分かれましょ。私は上から1Fずつ調べるから、アンタは下から」
「……えっと、私は?」
私が釘崎さんに尋ねると、釘崎さんが私に視線を向けた。
「アンタは呪い祓えないんだっけ。支援系の術師かなんかでしょ?」
(違います、ただの器です)
なんて言えるわけもなく。
「真ん中のフロアでも見回って。呪霊がいたら合図送るとかしてアイツか私を呼んで」
「……釘崎さんたちが危ない時は私が五条先生たちを呼べって言われてるんですけど」
「必要ないわよ。私、強いから」
釘崎さんがそう言って、私に背を向ける。
その仕草がめちゃくちゃかっこよくて、羨ましかった。
「さっさと終わらせてザギンでシースーよ」
釘崎さんはさっさと階段を上ろうとする。
でも虎杖くんが、そんな釘崎さんを引き止めた。