第16章 鉄骨娘
私たち3人の前に、同期の女子。
その間に五条先生が入って、紹介をする。
「そんじゃ改めて」
五条先生が「どうぞ」とその女子に自己紹介を促した。
「釘崎野薔薇。喜べ男子、紅一点……じゃないのね」
虎杖くんと伏黒くんの背後に隠れてた私に気がついて、釘崎さんの視線が私に刺さった。
「まあ、でも女子が増えたわよ。喜びなさい」
釘崎さんは堂々とそんなことを言って腰に手を当てた。
でもそんな自信を持ってもおかしくないくらい、顔も整ってて、スタイルもいい。
(怖いけど、綺麗な人)
そう思って隣をチラッと見てみたら、伏黒くんの顔に包み隠さず『ウザ』って書いてた。
逆に虎杖くんは全く何も感じてない様子で、口を開いた。
「俺、虎杖悠仁。仙台から」
「伏黒恵」
(え、名前だけ?)
伏黒くんの自己紹介を待ってんだけど、もう終わりらしい。
私は慌てて、2人に並んだ。
「綾瀬、皆実です。よろしくお願いします」
頭を下げて、チラリと視線だけ上を向く。
すると、釘崎さんが虎杖くんと伏黒くん、それから私の、頭から足の爪先まで全身を交互にジトーッと見てた。
そして、盛大なため息。
「……私ってつくづく環境に恵まれないのね」
第一印象からすでにダメだったらしい。
初対面であからさまに嫌悪を示されるのは初めてだった。だいたいみんな最初は嘘でも取り繕ってくれるけど。
新鮮すぎて、私はちょっとダメージを受けたんだけど。
虎杖くんも伏黒くんもたいして気にしてないみたいだ。すごいな。
「これからどっか行くんですか?」
伏黒くんが五条先生に問いかけると、五条先生はフッフッフと笑い始めた。
(うわー、嫌な予感)
「せっかく一年が4人揃ったんだ。しかもその内3人はおのぼりさんときてる」
この流れを、私は知ってる。
私のため息と同時、五条先生はスパーンと切り出した。
「行くでしょ! 東京観光!」
「え゛」
ありえないって顔したのは伏黒くんだけ。
虎杖くんと釘崎さんは全く同じ反応で、目をキラキラに輝かせた。早速意気投合しててすごい。
五条先生に駆け寄って、2人は目的地決めを始めた。