第16章 鉄骨娘
そんな私たちの耳に、大きな声が聞こえてくる。
「ちょっとアンタ! 私は?」
振り返ると、そこには真っ黒な制服を着た女子がいた。
目の前には怪しい勧誘のおじさん。
普通は絡まれて可哀想ってなるんだろうけど、様子がおかしい。
「モデルよ、モデル。私はどうだって聞いてんの」
勧誘に勧誘しろって言ってる。
(気強そう……)
「ああ、いたいた。アレ、もう1人の一年」
五条先生が気の強そうな女子を指して、そう教えてくれる。
なんとなく、そんな気がしてた。
上衣の学ランが私と似てるから。たぶん私のこのセーラー襟を外したら、あんな感じになるんじゃないかな。
あっちの方がかっこよくてオシャレ。
「あの子の制服も五条先生がカスタムしたんですか?」
「ううん。アレはあの子の自作。いいなあって思ってアレ参考に皆実の制服もイジった」
(余計なアレンジ!)
五条先生がアハハと笑う中、虎杖くんが「うーん」と唸る。
態度とは裏腹に、サングラスをかけて両手をスイーツで塞いだ姿は賑やかだ。
「俺達今からアレに話しかけんの? ちょっと恥ずかしいなぁ」
「オメェもだよ」
伏黒くんがすかさず突っ込む。
今の虎杖くんの姿って、たぶん伏黒くんが絶対にしない格好だろうな。
そんなことを呑気に思ってたら、五条先生が声を張り上げた。
「おーい。コッチコッチ」