第16章 鉄骨娘
「それよりなんで原宿集合なんですか? 綾瀬がいるのに」
「本人がここがいいって」
「じゃあ綾瀬は留守番でよくないですか?」
「同期を一緒に迎えるのは青春の1ページでしょ。さっきから『綾瀬、綾瀬』うるさいよ。世界の中心、皆実になってない? 大丈夫?」
「なってません」
五条先生と伏黒くんがバチバチしてる。
その様子を見て、虎杖くんが空気を呼んだ。
「えっと……あ! 皆実」
名前を呼ばれて、虎杖くんのほうを振り返る。
すると虎杖くんがキラキラした目で私のことを見てた。
「皆実も、東京来たばっかりなんだろ?」
「え? うん、まあ」
私が頷くと虎杖くんが私の手を握った。
「一緒に原宿満喫しよーぜ! 俺、あれ食いたい! ポップコーン!」
「ポップコーンって有名なの?」
「フッフッフ。皆実もまだまだだな。原宿行くって言ってたからリサーチ済み! 2人置いて行こうぜー!」
虎杖くんが私の手を引いて走り出す……っていうか早っ!!
「い、虎杖くん! 足! 足がもつれる!」
「ん? 抱っこすればいい?」
「違う!」
虎杖くんの身体能力がバグってるの忘れてた。
にしても早すぎだよ。車に引きずられてんのかと思った。
そんな私たちの背後で、伏黒くんが叫んでる。
「虎杖! まずは同期迎えに行くのが先だ!」
「いいよ、恵。どうせ待ち合わせしてるのはそっち側だし」