第16章 鉄骨娘
「綾瀬」
「は、はい!」
「何その反応」
伏黒くんは困り顔で、肩をすくめた。
「街中だけど、大丈夫か?」
「あ……大丈夫」
伏黒くんは私が呪いに刺されてないか、心配してくれてる。
多少は刺されてるけど、そんなに騒ぐほどじゃなくって。
伏黒くんがいつも通りだから、過剰に反応しちゃった自分が恥ずかしい。
羞恥で顔が熱くなるのが分かった。
「あのさ、綾瀬」
そんな私に伏黒くんが近づいて、耳元に唇を寄せた。
「俺が言うのもなんだけど、いつも通りにしてくれ」
「ご、ごめんね」
「じゃないと、俺が意識する」
囁かれて、余計に顔に熱が集まった。
少し視線をずらすと、伏黒くんも少し頰を赤くしてて。
「ね、何この空気?」
五条先生がニンマリ笑って、私と伏黒くんの間にしゃがみ込んでた。
「う、わ!」
「盗み聞きはやめてください」
伏黒くんが半目で五条先生に抗議した。