第16章 鉄骨娘
パンをちょうど食べ終わった頃、見知った男子が2人、駅前でお喋りしているのが見えてきた。
(あ、虎杖くん。制服だ)
制服姿の伏黒くんと、虎杖くん。
アイスを咥えた虎杖くんの制服は、襟にパーカーがついててオシャレ。
(自分でカスタムしたのかな)
そんなことを思いながら、私は五条先生の後ろをついて行く。
「おまたせー! おっ、制服間に合ったんだね」
五条先生が手を振りながら、虎杖くんにそう告げる。
すると虎杖くんがこちらを見てニッと笑った。
「おうっ、ピッタシ!」
「すっごく似合ってるね」
私が伝えると、虎杖くんは照れ臭そうに頭をかいて「サンキュ」と笑った。
虎杖くんは制服に満足そう。だけどパーカーを触りながら、不思議そうな顔をしてる。
「でも伏黒と微妙に違ぇんだな。パーカーついてるし」
(ん? なんかこの反応、知ってる)
私が咄嗟に五条先生を見上げると、五条先生はエナジードリンクをチューッと飲んだ。
「制服は希望があれば色々いじってもらえるからね」
「え、俺そんな希望出してねぇけど」
「そりゃ僕が勝手にカスタム頼んだもん」
(やっぱり)
「気をつけろ。五条先生こういうところあるぞ。綾瀬の制服も五条先生がイジってるし」
伏黒くんが虎杖くんに告げる。
その瞬間、伏黒くんがチラッと私のことを見たから。
ばっちり目があった。
『……綾瀬』
昨日のことが頭をよぎって、私が目を彷徨わせると、伏黒くんが私の目の前に歩いてきた。