第16章 鉄骨娘
「……っ!?」
「今日いつもよりTシャツの丈短くない? そんな格好で家の中うろちょろするとか『襲ってください♡』って言ってるようなもんなんだけど」
私の寝間着は五条先生の服だ。
いつもは丈が長めのTシャツで、私の膝が隠れるんだけど。
今来てる寝間着はたまたまいつもより丈が短くて、太ももが少し見えてしまってる。
でも五条先生のズボンは緩いし脚の長さが合わないし。
制服のスカートも丈が短いから、同じようなものかなって。
てゆーかそもそも『今日の寝間着これねー』って、このTシャツを置いていったのは五条先生じゃん!
「あれほど無防備をどうにかしろって説教したのに」
五条先生の手が私の太ももを優しく撫でる。
撫でる合間にその感触を確かめるみたいに少しだけ摘んできて。
その刺激が私の羞恥心を煽った。
「……着替えますから、離してください」
「もう遅いでしょ。……つーか、その顔は煽りすぎ」
五条先生は私の太ももを弄びながら、私にキスをする。
敏感になった身体は、体内の呪力を簡単に刺激した。
「……っ、皆実。……興奮してる?」
「ち、が……っ」
「ウッソ。……オマエの呪力、めちゃくちゃエロい味してる」
呪力の味なんて、分かんないし……絶対まずいでしょ。
でも五条先生は毒みたいな私の呪力を欲しがるみたいに、私の口内に舌を這わせた。
余すとこなく、舐め回すみたいに。
「や、……っ、ん」
五条先生の濡れた髪が私の顔を濡らす。
その些細な刺激も、私の呪力を沸騰させて。
もっと五条先生に流したくて、私の呪力が身体を廻る。
行き場を求めて、五条先生に絡めとられた唾液に、全部流れてく。
「五条、先生……」
無意識に、五条先生の首に腕を回しそうになって。
鼻に届いた臭いが私を現実に戻した。
(……? 焦げ、臭い……。……っ!)
回しかけた腕を止めて、五条先生を勢いよく突き飛ばす。
「ちょ、皆実……何す」
「カレー!! 焦げてる!! 火つけたままだった!!」
扉を開け放って、私は急いでバスルームを出て行く。
「生殺しもいいとこだろ……バカ皆実」
五条先生がそう呟いたのは、聞こえないフリをした。