第11章 自分のために
「それより、誰ですか? じぇに……、なんだっけ」
「ジェニファー・ローレンス。スタイル抜群、巨乳美女だよ」
「へえ……」
虎杖くん、巨乳が好きなんだ。
反射的に自分の胸に視線を向けたら、別の視線を一緒に感じた。
「皆実も結構デカいよね」
「セクハラで訴えたいんですが」
五条先生の顔が完全に私の胸のほうに向いていた。
何度か着替えを見られてるけど、全然そういうことでからかってこないから胸のサイズとかあんまり興味ないのかと思ってた。
……のに。
「安心して。僕の好みなサイズだから」
「どこを安心しろと?」
日本語が難しすぎて頭を抱えた。
ていうか、そうだ。
今私が着けてる下着って全部五条先生が買い揃えてるんだった。
めちゃくちゃぴったりだし、サイズ把握してるんだよなぁ、この人……最悪だ。
私と五条先生がコソコソお喋りをする中、夜蛾学長は虎杖くんの面談を続ける。
「何しに来た」
「……面談」
「呪術高専にだ」
「呪術を習いに……?」
「その先の話だ。呪いを学び呪いを祓う術を身に付け、その先に何を求める」
「何っていうか、宿儺の指回収するんすよ。放っとくと危ないんで」
「何故?」
ああ、やっぱり出た。夜蛾学長の『何故』攻撃。
「はじまった」
五条先生もそう言ってクスッと笑った。
あれ、結構しんどいんだよなぁ。
「事件・事故・病気。君の知らない人間が日々死んでいくのは当たり前のことだ。それが呪いの被害となると看過できないというわけか?」
「そういう遺言なんでね。細かいことはどうでもいいっす。俺はとにかく人を助けたい」
虎杖くんらしい、絵に描いたような正義感。
でも夜蛾学長は不確かな言葉を良しとはしない。