第11章 自分のために
「遅いぞ、悟。8分遅刻だ」
夜蛾学長の待つ蔵へと3人でやってきた。
あれ? 遅刻?
時計を確認してみたら13時23分。
五条先生は13時半集合って言ってなかったっけ?
「アハハッ。15分も30分も一緒でしょ」
(一緒じゃねーよ)
どうやら夜蛾学長の指定時刻は13時15分だったらしい。
私は即座に夜蛾学長に頭を下げた。
「すみません!」
「皆実が謝る必要はない。どうせ悟に適当な時間を告げられたんだろ」
「うわっ、偏見だ。ひっどーい」
「酷いのはオマエだ、悟。責める程でもない遅刻をする癖、直せと言ったハズだぞ」
夜蛾学長は小言を言いながら今日もカワイイを作っている。
やっぱりアンバランス。
隣を見たら、虎杖くんがまったく同じ考えを抱えた顔してた。
そんな私たちを放置して、五条先生は夜蛾学長のお説教にヘラヘラ答えた。
「責める程でもないなら責めないでくださいよ。どーせ人形作ってんだからいいでしょ、8分位」
反省する気ゼロだ。
8分はでかいよ、五条先生。
夜蛾学長も無駄だと思ったのか、お説教はやめて。
虎杖くんに視線を向けた。
「……その子が?」
「虎杖悠仁です!! 好みのタイプはジェニファー・ローレンス。よろしくおなしゃす!!」
虎杖くんが元気に自己紹介する。
個性的な自己紹介だなぁ。
「皆実もなかなかに個性的な自己紹介だったよ。受かる気ゼロで」
「そんなことないと思いますけど」
思い返してみても、何が個性的なのか分からなかった。
私という人間をしっかり紹介したと思う。