第11章 自分のために
「スゲー山ん中だな。ここ本当に東京?」
分かる。私も同じ反応した。
虎杖くんとは馬が合いそう。
「東京も郊外はこんなもんよ?」
高専の中を歩きながら、五条先生が答える。
わりと毎日来てるけど。
高専の中はいつも新鮮。
仕組みはいまいちよく分かってないけど。
偉い人が毎回高専の中の配置を変えているらしい。
虎杖くんは一通り辺りを見渡すと、何かを思い出したような顔をする。
「伏黒は?」
「術師の治療を受けて今はグッスリさ」
伏黒くんとは昨日のあれ以来、会っていない。
(……心配させちゃったこと謝らないとなぁ)
後で五条先生にお願いして、寮に寄らせてもらおう。
狭い小道を3人で歩く。
向かう先は私がはじめて高専に来た時と同じ。
「とりあえず悠仁はこれから学長と面談ね」
面談、と言う名の入学試験。
懐かしいなぁ。
夜蛾学長、虎杖くんにも質問攻めするのかな。
何故何故攻撃。
「下手打つと入学拒否られるから頑張ってね。ちなみに皆実は一回不合格って言われてるから」
五条先生が笑う。笑い事じゃないんだけど。
でもあの学長の面談は本気で挑まないとマジで落とされかねない。
「頑張ってね、虎杖くん。夜蛾学長の面談わりとマジでやばいから。普通に不合格って言ってくるから」
「ええっ!? そしたら俺即死刑!?」
虎杖くんが珍妙な顔で叫んだ。
まあ、そういう反応するよね、分かる。
私もそうだったなぁ。
入学できると思って来てんのに、まさか拒否られることがあるとは思わないよねー。
うんうん、と頷く私の耳に聞いたことのある声が届いた。