第8章 秘匿死刑
恵を硝子に任せて、僕は家へと帰ってきた。
皆実を置いていった部屋の中は、真っ暗。
(眠ってるのか。……まあ、あれだけキツそうにしてればね)
僕の言いつけ通りに安静にしているんだろう。
そのまま放っておけばいいのに、
なんとなく皆実の顔が見たくなって。
僕は寝室の扉を開けた。
ベッドの上には誰もいない。
(どこ行った?)
想定外のことに、思考が一気に脳を巡る。
思い悩んで家出した?
どこかに呪力流しに行った?
いろんな考えが瞬間的に頭をよぎった。
でもそれらは全部、杞憂。
「勘弁しろよ、本当」
思わず言葉が漏れる。
視点を少し変えると、部屋の隅っこに丸まった塊がいた。
ブランケットも何も羽織らずに。
膝を折って、背中を丸めて。
まるで猫みたいに床に寝転がってる……皆実がそこにいた。
(わざとやってんなら、相当の策士だろ)
放っておけるわけがない。
ただでさえ呪いが巡って身体が痛いはずなのに、あえて床に寝るなんてバカすぎる。
それが皆実流の反省なのだとしたら余計に、僕は皆実の策にハマってる。