第8章 秘匿死刑
「パンク寸前のオマエの呪力はまだ、俺じゃ背負えないかもだけど。今なら、まだ俺でも背負えると思う」
「いやいや、大丈夫だって」
「嘘つくな」
私に触れてる伏黒くんの手から、伏黒くんの呪力が流れ込んでくる。
《そんなに青白い顔して大丈夫なわけないだろ》
優しさと心配の入り混じった優しい負の感情。
「それ、五条先生が受けてくれるかは分かんないんだろ?」
「だとしても、伏黒くんが壊れちゃうかもしれないから嫌だよ」
「壊れなかったら、俺を頼るか?」
その問いかけに、私は即答できなかった。
「綾瀬が思ってるほど、俺は弱くない」
近づいてきた伏黒くんの顔。
こんなに近くで見るのはあの日以来。
でもあの日より、頭が鮮明で。
「ごめんね、伏黒くん」
私は目を閉じなかった。
伏黒くんの唇に、あいてるほうの私の指を置いて。
苦笑した。
「それでもきっと、壊しちゃうから」
ごめんね、嘘ついて。
伏黒くんは強いよ、私の想像よりずっと。
だから、たぶんね。
今の呪力量と濃度なら、伏黒くんは受け止められる。
でもね、ダメなんだ。
「五条先生が許してくれないなら、その時はその時だよ」
笑った私を、伏黒くんは困った顔で見てた。