第6章 ジム巡り
エンジンシティのカフェでクロワッサンのサンドイッチをテイクアウトして、は爽快に3番道路を自転車で悠々と通り過ぎた。
途中に見えた工場の景色や、野生のポケモンたちを見ながらあっという間にガラル鉱山についてしまった。
「おかしい・・・トレーナがー誰も絡んでこない・・・だと?!」
鉱山に来るまで今年のジムチャレンジャーを数人、そして道端で待ち構えている普通のトレーナーさえが目を合わそうならば、そらされてバトルができずにいた。
はずっと違和感を感じていたが、実は本人の知らないところで、がジムチャレンジをすると分かった人たちが、例の引ったくり事件の動画を編集してアップされていた。
『今年の注目トレーナー』として、は一目置かれていたが、反面実力がありすぎて自信のないトレーナーは勝負を避けたいと思われていた。
そんなことなど梅雨知らず、はローズからもらったケータイは設定だけ済ませた後は放置。
まさか自分の動画が出回っているとは思っておらず、この違和感はしばらく続くのであった。
「せっかく対人戦慣れようと思ったのに・・・なんで???」
は不思議に思いつつ、ガラル鉱山に足を踏み入れた。
鉱山の中は、宝石があちこちで見つかり、思わず感嘆の声がもれる。
「すごい宝石・・・ダイゴさんが見たら飛びつきそう」
ホウエンを旅している時、たまたまムロの石の洞窟で出会った。
当時もダイゴは石を探して、薄暗い洞窟の中を探検していたら、急に後ろから声をかけられ、失神しそうになったことは、は今でも忘れられない思い出だった。
「今頃チャンピオンやってるのかな・・・」
チャンピオンの時のダイゴとはバトルはしていないが、当時も苦戦を強いるバトルをした。過去を思い出しつつ、綺麗な鉱山探検を続けた。
(珍しい石があったら送ってあげるのもいいかも?)
は少し注意深く鉱山を見回した。