第6章 ジム巡り
カーテンの隙間から溢れる光が、朝を告げていた。
耳をすませば鳥ポケモンの鳴き声が聞こえ、はカーテンに手をかけて両サイドに開いた。
目の前に広がる朝のエンジンシティの街並みが綺麗で、その光景を心に焼き付けるようにじっと見つめた。
「行こっか、リザードン!」
後ろを振り返ると、青い目に闘志を燃やした相棒の姿があった。
「バギュア!!」
「しばらく出番はないけど、絶対あなたを最終戦に連れて行く。そこでみんなをびっくりさせようね!」
「バギュ」
「楽しみだね、私のリザードンが強いか・・・ダンデさんのリザードンが強いか・・・って、その前にキバナ様も倒さなきゃだけど!ガールズパワー見せるよ!!」
「グルルル!!」
拳をリザードン に突きつけると、リザードンも自分の拳をに突き出し、コツンと当てた。
はデスクの上に置いてあるポケモン図鑑と、真新しいキャップを手に取った。帽子は被り、図鑑をジッと見つめた。
(ピオニーさんとの特訓はすごく助かった。まだまだダメなところもあるけど、それでもピオニーさんは私を送り出してくれた。それにソニアが直してくれたこのポケモン図鑑もあるし、ジム巡りのことも応援してくれた)
頑張らねば。と、は思った。
応援してくれた人にも応えたい。
そして自分とバトルがしたいと言ってくれた人にも応えたい。
(・・・極力目立たないでって言われたけど・・・もう2年も立つし、もう大丈夫だよね・・・)
はギュッと一度目を強く瞑り、頭の中に浮かびかけた人物を思い出さないようにかき消した。
リザードンをモンスターボールに戻すと、旅の準備を完了させたリュックを背負い、はホテルを後にした。