第5章 開会式
すると、また何かから後ろから押され、はビックリして後ろを向いた。
「ひぇっ!・・・って、リザードン!」
「バギュウ・・・」
「え?どうしたの?」
さっきとは様子が全然違い、リザードンは目尻を少し下げ、元気なさげに鳴いた。それを見ていたダンデは、先ほどを後ろから押しているのを見て気が付いた。あの時が突然つんのめるようにして自分の方に倒れてきたのは、リザードンが押したからなのだと。
「さっき君を強く押しすぎて、謝ってるんじゃないかな?」
「え?そうなの、リザードン?」
「・・・ギュウ」
リザードンは反省してます、と体で表す様に自分の頭を低く下げていた。
(反省してる・・・可愛い)
はそんな様子のリザードンが可愛く見えた。
「怒ってないよ、だからそんなしょげないで?」
「、俺のリザードンが君を押してしまってすまない」
リザードンに気を取られていると、後ろにいたダンデが横に来ていたことに気付かず、は一瞬ドキリとした。ダンデから謝罪の言葉を言われ、は目を逸らしながら答えた。
「リザードンも悪気があったわけじゃないと思いますし、それにダンデさんが受け止めてくれたので///・・・だ、大丈夫です(寿命はちょっと縮んだかもしれないけれど)」
照れくさげにそう言うと、ダンデも納得してくれたのか、自分からリザードン に視線が移って、は内心ホッとした。
「次は気をつけような、リザードン」
「バギュ!」
元気を取り戻したリザードンはダンデにひと鳴きし、は微笑ましく思った。ダンデも元気を取り戻したリザードンを見て、微笑み掛けた。
「じゃあダンデさん、私そろそろ行きますね」
「そういえば君を送りに来たんだったな」
「仕事が残ってるのに時間取っちゃってごめんなさい」
「俺が送りたいって言ったんだ、気にしないでほしい」
「ありがとうございます(本当にいい人だなぁ)」
「旅の道中、気をつけて」
「はい!行ってきますね!」
「あぁ」
は頭を下げお礼を述べると、振り向かず、出口に向かって歩き出した。