第5章 開会式
(な、な、何が起こったの〜///?!?!)
ダンデに別れの挨拶をしようとしたら、いきなり後ろから強い力で前に押し出され、止まる術もなくダンデに突っ込んでしまったは、激しく混乱していた。
自分をギュッと抱きしめているダンデの腕の中で、事故とはいえ嫌でも触れている部分からダンデの熱が自分に伝わってくる。
「?大丈夫か?」
ドキン、ドキンと心臓の鼓動がいつもより早く、自分を気遣うダンデの声に反応して、さらに加速する心臓が痛いくらいだ。
顔を上げると、自分の顔を覗き込むダンデの顔が近すぎ、一瞬ピントが合わず、びっくりして止まった。
いつもキラキラしている黄金の瞳は、今はユラユラ揺れているように見えた。お互いが一瞬息を止め、は手持ち無沙汰だった自分の手を握ったり開いたり、意味のないことをしだした。
「・・・ダ、ンデ、さん///」
「痛いところは?」
「ないです・・・ありがとう、ございます///」
自分の後ろに回っていた腕の拘束が急になくなり、ダンデは2、3歩後ろに下がった。咄嗟の行動だったが、ダンデは自分の心臓がいつもより大きく鼓動していて動揺した。
(俺は、何をやってるんだ・・・また彼女を困らせた・・・)
はその場から動かず、離れて行ったダンデを見ていたが、向こうも気まずそうな顔をしており、、自分がやらかしたことを思い出してブルブル振えだした。
「あああ、あの!ごめんなさい私おっちょこちょいでっ!!!ダダダダンデさんはどっか怪我とかしてないですか?!」
「いや、俺は別にどこも・・・」
「本当ですか?!」
「ああ、本当だ」
ダンデは務めて平気なフリを装った。
もなるべくダンデを直視しないよう、視線があちこちに飛ばしながら落ち着こうとした。
(い、いたたまれない・・・!)
どうにか場を和ませなければとはいろいろ考え、言葉を出そうとすれば「あ」とか「う」などの言葉にもならない音が溢れるだけだった。