第5章 開会式
【ダンデ視点】
「話はそれだけです。ジム巡り頑張ってくださいね」
それだけ言うとローズ委員長は席を立ち、オリーヴさんと部屋を出ようとした。俺の隣に座っていたも席を立ち、俺は彼女が何をするのだろうと見ていると、ローズ委員長が彼女の横を過ぎる前に頭を下げていた。
「・・・ローズさん、今日はごめんなさい、色々」
「うん、わかってますよ。来てくれてありがとね」
ローズ委員長は彼女の謝罪を快く受け止めると、ポンポンとの頭の上に手を置いていた。
(!)
案の定もびっくりしたのか、そこから動かずローズ委員長を凝視している様だった。ローズ委員長はいつもの余裕のある笑みをしていて、一瞬俺と目が合うとニコりと微笑んで、今度こそ部屋から出て行った。
の方を見ると、頭に置かれた委員長の手の感覚が残っているのか、自分の手でその頭に手を置いた。
「・・・ポンポン・・・ローズさんが???」
「ローズ委員長も珍しいことをするんだな」
はああああ、とは大きなため息をつきながら、ソファに座り直した。そしてまた恨めしそうに携帯の入った箱を見ていた。そんなの様子に、俺は苦い笑みを浮かべた。
「そんなに嫌いなのか?」
「・・・ちょっと苦手なだけです。いつも誰かと繋がってなくちゃいけないって思うと、なんか束縛されてるみたいで疲れるんです」
「・・・」
「ローズさんってちょっと過保護だと思いません?」
「あの人なりに君のことを心配してるんじゃないかな。」
「私成人してるのに」
「え?」
「え??」
俺は耳を疑った。
彼女も俺の反応を見て驚いていたが、少しぷっくり頬を膨れ始め、俺を咎める様に見ていた。なのに全く怖そうに見えないのは、少し膨らんでいる頰のせいかもしれない。
(小さい頃の拗ねたホップみたいだ)
「・・・ダンデさんは、私のこと何歳だと思ってました?」
「17か18だと思ってた」
「・・・20歳ですけど」
「・・・」
「・・・どうせ童顔ですよーだ」
すっかり彼女の機嫌を損ねてしまった。
ムスっとした顔でそっぽを向いてしまったが、そんな行動も彼女には似合っていて、見てないことをいいことに俺は少し笑ってしまった。