第5章 開会式
通路にはダンデとの足音しか聞こえなかった。
は気まずいなと思いつつ、先を歩くダンデをチラリと見た。
(怒ってない・・・よね?)
先ほどキバナの後ろ越しだったが、ピリピリした空気を感じて堪らず素直に姿を現したが、そのあとのことは全く考えていなかったせいで、どうダンデに話しかければいいかわからなかった。
(こんなことになるなら素直にローズさんとこ行けばよかった)
ごめんなさい委員さん、と思いながら、は逃げ出したい気持ちと後悔でダンデに着いていった。
しばらくして、その沈黙を破ったのはダンデからだった。
「この間のことはごめん、だからキバナの後ろに隠れたんだろ?」
「え、と」
「まだ・・・怒ってるかな?」
「え?怒る?私が?」
「・・・怒ってないのか?」
ダンデは歩いていた足を止めて、振り返ってを見た。
はいきなり振り返ってきたダンデにビックリして、急いで足を止めたが、人一人分の距離しか空いていなかった。
ダンデの金色の瞳が、の目をジッと見つめて離さなかった。
「(ち、近っ)ぜ、全然怒ってませんけど・・・ダンデさんの方が怒ってませんか?」
「そうだな・・・少し、怒ってる」
「え"」
少し眉間にシワを寄せたままのダンデの顔を見たは、体の体温が下がった気がした。
「君、2ヶ月もワイルドエリアにいたそうじゃないか。しかも連絡を取れるものも持たずに」
(え、そこ!?)
は思っていたダンデの怒りが違うところにあり、ポカンとダンデを見続けた。ダンデもまだ言い足りなかったのか、話は続いた。
「君が無事だったからよかった。でも感心はしない」
「・・・はい」
「何かあったらどうするんだ・・・俺がそれを知ったのは君が家に泊まってから1ヶ月も後だ。少し前にソニアから連絡が来て、君が大丈夫だってこともわかった」
(・・・)
「こんな無茶はしないでほしい・・・でも、君が今日開会式に来てくれて嬉しかった」
ダンデはそう言い切ると、眉間に寄せていたシワを解いた。
いつものダンデに戻ると、はなんと言っていいかわからず、ダンデの視線から逃れる様に下を見た。