第5章 開会式
ダンデがキバナの後ろを覗き込もうとすると、はキバナを引っ張り、ダンデの視界から逃げた。キバナもの引っ張られた方に体を動かして、ダンデの視界から防いだ。
「キバナ」
「おっと、そんな睨むなって。な?」
キバナは面白いものを見る様にダンデを見た。
自分の名前を読んだ声も、いつものダンデではなく、少し苛つきが含まれている様な気がした。
そんな様子をカブは少しハラハラしながら見ていた。
「そんなんじゃ、また”逃げられる”ぜ?」
「・・・」
も少し空気がピリピリする様な雰囲気を感じて、顔をゆっくり上げた。キバナの大きな背中で前は全然見えなかったが、どこか安心感を覚えた。
(キバナ様さっき一緒に動いてくれた・・・やっぱりいい人だな)
でも、とは思った。
はゆっくりとキバナのパーカーから手を離した。
大きく息を吸って吐いて、はキバナの後ろから姿を現した。
「ごめんなさい、ダンデさん。キバナ様とちょっとイタズラしたくて・・・迷惑かけてすいません」
は申し訳なさそうに言った。
キバナは横に並んだに目を見開いだが、すぐにいつも通りの笑みを浮かべて、の話に乗った。
「悪かったって、ダンデ。ほら、も反省してるし」
「・・・全く、君たちってやつは。すっかり騙されたぜ」
自分を睨んでいた黄金の目は、すっかり形を潜め、いつものチャンピオンダンデに戻った。
「ローズさんに呼ばれてるんだろ?」
キバナは話を即足す様にそう言うと、ダンデはうなずいた。
「ああ。、行こう」
「はい。じゃあキバナ様、カブさん、また」
「ああ、ジム巡り頑張ってこいよ」
「僕も待ってるからね」
「はい!すぐに行くので首洗って待っててくださいね!」
「なんだそりゃ」
ブハっとキバナは笑った。
は控えめに手を振りながら、ダンデの後に続いて行った。