第5章 開会式
仲直りしたらしい二人を、カブは微笑ましく見ていた。二人の関係はそこまで知らないが、見ていて仲がいいのはわかっていた。そしてカブはこちらに向かってくる人の気配を感じて後ろを振り返った。
「君も来ていたんだね、ダンデ!」
カブがそう言うと、蹲み込んでいたとキバナは同時に顔を上げた。そしてはヒィ、と小さな悲鳴をあげた。
「カブさん、お久しぶりです。実は開会式を見に来てました」
「よおダンデ!高みの見物か?」
「そんなんじゃないぜ。でも今は探している人がいるんだ。を知ってるか?委員の人が見失って困ってるんだが」
「さん?それならそこに」
カブはスッと後ろにいるに指を指そうと後ろを振り返ったが、いたのは立ち上がっていたキバナだけだった。
「あれ?」
「そいつなら俺さまの後ろにいるぜ」
(おいいいいい!!!)
まさか突然ダンデが現れるとは思っておらず、はキバナが立ち上がったと同時にその後ろに身を潜めていた。が、それも虚しくキバナにバラされ、はサアっと血の気が引いた。
(なんであの委員さんじゃないの?!)
「…、ローズさんが待ってる。行こう」
「ほらお迎えだぜ」
「……(どんな顔すればいいの…雄っぱ…じゃなくてお泊まり事件以降顔わせてないし気まずい…気まずすぎる!!)」
「?」
ギュッと目の前にあったキバナのパーカーを、は自然とつかんでしまった。掴まれたことで、少し後ろに服が引っ張られたキバナは不思議に思い浮かび、首を後ろに振り向かせた。
自分の後ろにいたのは、眉間にシワを寄せたの姿で、キバナはすぐに気がついた。
(すっげぇ会いたくねぇって顔してやがる…)
そしてを待っているダンデの方を見ると、ダンデはいつも通りでキバナはどうしたもんかと悩んだ。
「?」
ダンデが呼びかけると、キバナのパーカーを掴んでいたの手がギュッとまた強く握り込まれた。名前を読んでも出てこないに痺れを切らしたダンデは、キバナの方に歩み寄った。