第2章 推薦状
『昨日の午後、ナックルシティの広場近くにて引ったくりがあったようですが、現場の近くにいた海外のトレーナーがその男を一撃で撃退したとのことですが』
『このハッサムのシザークロー!的確に相手の急所を狙って低い姿勢からの攻撃!こりゃ相手もひとたまりもないですよ!!ボールから出た瞬間からもうどうするのか、トレーナーとポケモンの息のあった最高の』
ピッと、テレビの画面が一時停止になった。しかもご丁寧に私がガッツリ動画に写っているところで。
上品なスーツに身を包んだ中年の男性が、リモコンを片手に持ちながら、笑顔で振り返った。
「これ、あなたですよね?」
「いえ違います」と即答できたらよかった。
この人がローズさんでなかったら。
私の必死の作り笑いも、さっきから頰がヒクヒク引きつって仕方ない。私この人ちょっと苦手なんだよな・・・。
そう、私は今なんとローズさんの根城とも呼べるローズタワーに来ている!しかも聞いてくれ、まだ朝の10時なんだぜ?
美人秘書のオリーブさんが用意してくれた紅茶をすすりながら、今朝あったことを聞いて欲しい。