第1章 出会い
「え?」
振り返った先は、思っていた人物とは異なっていた。その声の持ち主は物腰の柔らかい声で、それでいて落ち着いていた。
「なん…で、ダンデ???」
見間違えるはずなんて、できるわけもなかった。
ガラルにくる前に何度もフェリーのあちこちのテレビやポスターで見た顔だ。菫色の長い髪に、金色の瞳。極め付けのリザードンポーズ。
は何回か瞬きをしたが、そこにはキバナ ではなく、このガラル1有名な人物そのものだった。
超音波か、怪しい光にでもかかったのだろうか、の頭の中は大混乱していた。キバナと思って振り返ったらダンデであり、その本人はジッとこちらを見てくるのである。
(え、えええええ見過ぎじゃない!?てかなんでダンデ?!え、私がさっきまで聞いてた声は実はダンデ?妄想激しくてもう誰かれキバナ様に聞こえちゃう幻聴持ちになっちゃったの?!?!)
「君、大丈夫かい?」
「(やっぱりダンデじゃん!!!)だ、だい、じょぶ、です」
「そうか、よかった」
フワッとダンデは微笑んだ。
その瞬間、花吹雪が舞うような錯覚を起こした。
(うわあああああイケメンオーラぱないよっ!!!!ありがとうございますご馳走様すぎますうううう///!!!)
「おいダンデ!なんでお前がここにいるんだよ!」
「すまない、キバナ!だがこんなに人が集まってるんだ。俺が誘導したほうが早いと思ってな」
「お前がいるともっと人が集まるだろうが!!!」
ダンデがいるとわかると、人々の声はさっきより大きくなった。
ガラルが誇るジムリーダー最強のキバナと、現チャンピオン、無敵のダンデのツーショットに周りは大騒ぎだ。
(はわわわなんか大変なことになってきた!キバナ様拝んで逃げよっと)
はハッサムをモンスターボールに戻して、人気がないところまで移動することにした。人影からチラッとキバナの姿を見ることができたは、手を合わせて合掌した。
「初日からキバナ様拝めるとか最高かよっ///!!もう全私の運使い切ったね!悔いはなくはないけど、声も聞けたし嬉しすぎるううう!!!」
さて今日はこの幸せを噛み締めて寝よう、とは思い、体の向きを180度変えて、ナックルシティの街中に消えた。