第5章 開会式
女性委員に案内されるまま、スタジアム内の”関係者以外立ち入り禁止”のドアの向こうへ潜った。奥に歩いていくと、時々違う委員の人とすれ違い、その度に案内係の女性委員が「お疲れ様です」と声をかけていた。
しばらく歩いていると、横道から賑やかな声が聞こえ、通過するときにはそちらに目を向けた。
「あ」
歩いていた足はその場に止まり、そして偶然にも相手と目が合った。
「あれ、お前なんでここに?」
(キバナ様!!!)
そこには、つい30分くらい前に見たキバナがいた。
は女性委員からゆっくり離れ、通路に立っていたキバナの方へ歩いて行った。
「お久しぶりです!」
「久しぶりって、お前さっきの人といかなくていいのか?」
「罪悪感はありますけど、ローズさん絡みで」
「お前なぁ・・・」
キバナは呆れたが、前回騙した様にローズの元へ連れて行った過去もあり、それ以上口を挟まないことにした。
「それよりさっきの入場でめっちゃ緊張してただろ」
「うう・・・苦手なんです。バトルもしないのに、こんなに人が集まるんですね」
「そうだな。でもま、お前が逃げずに来たことだけは褒めてやるよ」
(上から目線!!ありがとうございます///!最高です///!)
幸せ度数が満タンに満たされたは、ふりゃりと頰が緩んだ。
「おや、キバナ君?知り合いの子かい?」
(この声は・・・!)
キバナが大きくて見えなかったが、後ろから炎のユニフォームを着た、白髪まじりの中年の男が顔の覗かせた。視線を下に下げると、噂の膝小僧をお目にかかれた。
「カブさん、こいつローズ委員長の推薦状もらってきたやつ。で、今呼び出されてんのに逃げてきたんだとよ」
「そうなのかい?・・・なんか拝まれてるけど、僕は何かしたかな?」
「・・・気にしないでくれ、ちょっと変わってるが悪い奴じゃないんで」
「はぁ・・・・」
(カブさんの膝小僧・・・尊い(合掌))