第5章 開会式
『レディース アンド ジェントルマン! わたくし、リーグ委員長のローズと申します』
スタジアムには溢れんばかりの大衆と、スタジアムいっぱいに広がるローズさんの声。ドキドキ高鳴る胸を抑えながら、私はついにチャンピオンカップを目指すための開会式に参加していた。
今年の参加者たちと緊張しながら、ドアの向こうに広がるスタジアムの扉が開くのを、今か今かと待っていた。
『それではジムリーダーの皆さん、姿をお見せください!』
ローズさんがそう言うと、スタジアムは一瞬だけ静かになり、そして大きな歓声がビリビリと待機処までひびいてくるのがわかった。
(ああ・・・今キバナ様たちが入場したんだろうな・・・後でポケセンでポケチューバー見なくちゃ!!)
そしてジムリーダーの紹介で、キバナ様の番になると会場は一際盛り上がって、黄色い声援がやけに多く聞こえて私は苦笑いした。
でも八人いるはずのジムリーダーが、七人しか紹介されておらず、ローズさんも一人来ていないとアナウンスを流していた。
(・・・あ、ネズか。もうこの頃から来てなかったのね・・・)
できるなら一眼拝んでおきたかったなって思いつつも、待機室にいたリーグ委員の人たちがドアを開けた。スタジアムへ続く薄暗い道の先に、強い光に誘い込まれるように、チャレンジャーたちは歩き出した。
(もうここまで来たら引き返せない・・・みんな、頑張ろうね!)
リザードンの入っているモンスターボールをギュッとポケットの中で握って、私もみんなの後に続いた。