第4章 新たな門出
チャキ、とドラゴンクローのままの爪をボスゴドラの首元に当てたリザードン。興奮からか、口から炎がこぼれ出していた。
「どうやら俺の負けだな!まいったぜ、嬢ちゃん!」
勝ったとわかると、はその場に座り込んだ。
胸に当てて握り込んでいた手の力を少しずつ緩め、フーッと大きく息を吐いた。
リザードンもバトルを終わった事に気が付き、ボスゴドラに向けていた爪を下ろした。
「・・・ありがとう、リザードン。よく頑張ったね」
「バギュ!」
座り込んでいるの元へ、リザードンは擦り寄り、褒めてくれと言わんばかりに顔をに押し付けた。よしよしとその頭を撫で、の頰は緩み始めた。
は立ち上がり、テントの中に入れておいたオボンの実を大量に持ち出した。
「ピオニーさん、これボスゴドラにあげてください。あともし火傷もしてたら、チーゴの実もあるので使ってください」
「おお、サンキュー!しっかしスゲー数のオボンの実だな!」
「野宿してますからね。いつ何が起こってもいいように、回復系のきのみは常備してます」
リザードンにもオボンの実を持っていくと、リザードンはムシャムシャと実を食べ始めた。その様子をぼんやり見ていると、ピオニーが歯切れ悪く話しかけてきた。
「さっきのバトルで見て思ったんだがよ・・・あー何というか、俺とのバトルは楽しめたか?」
「・・・」
「ずっと不安そうだったぜ。こんなおっさんだけどよ、話くらい聞くぜ?」
は振り返り、ピオニーを見ると、心配そうな目をこちらに向けていた。話そうか、と思い口を開けるが、閉じを数回繰り返したところで、はようやく声をふりしぼって話し出した。
「・・・やっぱり、ピオニーさんにはばれちゃいましたか」
「そりゃあな。俺じゃなくてもわかるともうぜ」
「はは・・・もう2年くらい、こんな感じです。勝ちたいって気持ちはあるのに、楽しめないんです・・・」
「・・・」
「いつも不安で、負けたら怖くて仕方ないんです。まだ野生のポケモンならいいんですが、対人だと」
「見られるとそう思っちまう、か?」
「・・・はい」
は寄り添ってくれているリザードンにギュッと抱きついた。