第4章 新たな門出
なぜが、元ジムリーダーのピオニーと行動を共にしているかというと、それは約一週間前のことだった。
ワイルドエリアの山奥に篭って三週間、はついにこの辺りの強そうなポケモンを倒しきり、お昼のカレーを作りながら、どうしようかと悩んでいた。
「う〜ん・・・やっぱり野生のポケモンじゃあ限界があるんだよな〜。シロガネ山の時は、レッドがすぐ手合わせしてくれたから成長具合とかわかるんだけど・・・でもこっちが一方的に勝ってても、何がいいのか悪いのかわかんないよーーー!!!」
頭を抱え、しばらくずっと悩んでいるの姿を、ポケモンたちも顔を合わせて困っていた。
「あと1ヶ月くらいしたら、嫌でも対人しなきゃいけないのに」
はぁ、とはお玉を回しながら、ため息をついた。
そしてもうすぐカレーができると思った時、音に敏感なラグラージが耳をピクピク動かし、音がした草むらを睨み付けた。
「ラグ!」
「「「「「「!」」」」」」
草むらからガサガサと音が聞こえた。
一斉にとポケモンたちは、ラグラージの視線の先を見つめた。
ガサガサ、とする音が段々大きくなり、緊張が少し高まってきた時、草むらから大柄な男が飛び出してきた。
「おーっす!・・・って、めっちゃ睨まれるじゃねぇか!!俺は怪しいもんじゃねぇから安心してくれ!」
と、両手を上げて自分は何もしないという意思を伝えた。
(あれ・・・この人どっかで見たことあるような)
オレンジ色の防寒着を上下に着ており、白いヘルメットを被った男は、ニカっとこっちに笑いかけた。
「俺はピオニーっつうんだ!お嬢さん、悪いがその美味しそうなカレーをちょっと分けてくんねえか?実は俺の食料、うっかりポケモンたちに取られちまってよ!」
「(ピオニー・・・あ、冠の雪原に出てくるローズさんの弟じゃん!!)は、はい!全然いいですよ」
はポケモンたちに、大丈夫だよと伝えると、ポケモンたちはピオニーを睨むのをやめ、各々のんびりと過ごしだした。
「サンキューな、嬢ちゃん!感謝するぜ!」
それがと、ピオニーとの最初の出会いだった。