第4章 新たな門出
すっかりご機嫌斜めのに苦笑いしつつ、ダンデはの横に移動した。
そして身をかがめ、の背中と膝の裏に手を回した。
「え、え、え、ダン、ダンデさん?!」
「ごめん、こういうことは君は苦手だと思うんだが、少し我慢して欲しい」
急に近くなったダンデの気配に、はビックリして硬直した。
ダンデの謝罪の言葉と同時に、体がフワッと上昇する感覚がして、は完全に思考が崩壊した。
「ーーーっ///!?!?!?!?」
驚いた拍子に、スルリと寝袋とエアマットが手から離れ、ダンデはゆっくりとベットのほうに歩き出した。固くなるを覚えているわけでもないのに、はトランセルの様にカチンコチンに身動きしなかった。
そしてソッとベットに下されると、はダンデに運ばれたままの状態で固まっていた。そんな様子の彼女に、ダンデは少し困った様な苦笑いをした。
「・・・じゃあ、俺は書類を取って出ていくとするよ」
ダンデは目的の書類がある本棚へ向かい、数冊の本と書類を持ち、そして床に散らばっていた寝袋とエアマットも忘れず回収して部屋を出た。
部屋の外に出たダンデは一度足を止め振り返る。
その視界の先には、自分のベットの上でまだ体育座りで固まっているの姿を見た。
「おやすみ」
ダンデはそう一言言って、ドアを閉めた。が、ドアが閉まる直前、部屋の中から「おやすみなさい」との小さな声が聞こえた。
そしてドアは完全に閉じられた。
もうの姿を見ることはできないのに、ダンデは閉まったドアを凝視していた。
(俺は・・・何故あんな強引なことを彼女に・・・やっぱり申し訳ないことをしたな)
やってしまったことへの後悔と、やっぱり今手元にある寝袋を彼女に返そうか、ダンデは悩み始めた。
しかしを抱き上げたとき、自分はこうするべきだと勝手に体が動いていた。
(明日・・・もし会えたら謝っておこう)
はぁ、とため息をついて、ダンデはホップの部屋に向かった。