第18章 それぞれの道
「私は何もしていないよ、ただ君の意見を尊重したまで。私も彼らにしかできない仕事を止めたくないと思っただけのことだよ。彼らも君には近付かないと約束もした。それに、彼らをこのガラル地方に呼んでしまったのは、君をチャンピオンカップに出場させたことじゃないかな?どこかで君の映ったテレビを見かけただろうし」
にこやかにローズは言った。
「頭を上げて、君」
と、ローズに言われて、はゆっくりと頭を上げた。
「私はね、君に感謝しているんだ。今年のチャンピオンカップは君が参加したことでガラルの人々が楽しんでくれた。チャンピオンのダンデ君を倒すんじゃないかって、噂もよく耳にしたし、私も少しヒヤリとさせられたよ。ダンデ君もいつも以上にトレーニングに励んでいたみたいだしね」
ダンデは何か言いたそうな顔をしたが、グッと堪えて何も言わなかった。ただ少し照れくさいと思った。
「君のおかげでダンデ君はまた強くなった。素晴らしいバトルだったよ」
笑顔で話すローズに、は悪い気はしなかった。事実、ダンデとのバトルは本当に楽しかったと思っていた。また楽しくバトルができるようになったことは本当に嬉しい気持ちでいっぱいだった。
「私も、ダンデさんとバトルできて本当に楽しかったです。それに----ダンデさんには色々助けてもらってばかりで、どう感謝を返せばいいのかわからないんです」
少し困った顔でダンデを見上げたは言った。
「だから一度カントーに戻って修行し直そうと思ってます。私、勝ちにまたここに戻りますから」
力強い意志を感じるの目を見たダンデは、優しく微笑んだ。
「君が戻るまで、俺も強くなり続ける。君とまたバトルできる日を楽しみにしている」
二人は見つめ合うと、次の再開を本当に楽しみにしている様子が見えた。
「あーそのことなんだが、実は君に頼み事があるんだ」
「ん?」
「カントー地方に帰ると言ったね。あれ、もう少し延期できないかな?」
「…な、なんでですか?」
にこやかに話しを続けるローズに、の心臓は緊張でドキドキし始めた。何か嫌な予感がすると、直感が告げていた。