第18章 それぞれの道
「あー、急にローズさんの部屋にいっちゃいけない病が…診断結果は電話で大丈夫なので…」
はお腹が痛いフリをして後ずさった----が、がっしりとダンデに手首を掴まれた。
「大丈夫!俺も一緒だ」
「…うん(すごく心強いはずなのに、今じゃないんだよなぁ…ダンデも一緒ってあたり、あの人が診察結果だけを話すなんてありえない)
逃げられないと悟ったは、大人しくダンデについていくことにした。
(どうか何事もありませんように!)
は強く願った。
ローズの部屋へ行くと、ローズはニコニコと椅子に座り、その横にオリーヴが何枚かの書類を持って立っていた。
「やぁ、待ってたよ。無事、君の知り合いを送り出したんだね」
「はい。ちゃんとフェリーに乗って帰って行きました」
「そうかそうか。今回は大変だったみたいだけど、二人とも見たかぎり元気そうでよかったよ」
は顔色を変えず、淡々と会話をしているローズに冷や汗をかいた。このガラル地方をほぼ収めているのは、ローズと言っても過言ではない。ダンデが頭を打って怪我をしたことは当然として、あの日のパーティ会場からジムリーダー達が抜け出したことも把握していないとおかしい。
は何も話さず、じっと二人の会話に耳を傾けていた。
「診断の結果だけど、二人とも異常なし。若いって素晴らしい、治りも早いね」
「それじゃあ、トレーニングの再開をしてもいいってことですか?」
ダンデが嬉しそうに言った。
「問題ないと思うよ。あとでパーソナルトレーナーに聞いてみるといい----で、君」
ローズの視線がダンデからへ向くと、はギクリと型を揺らした。
「色々あったみたいだけど、君も特に異常なしだ」
「…ご迷惑おかけして、すいませんでした」
は静かに頭を下げた。ローズのことは苦手とはいえ、ダンデの上司であり、この事件は公にしないでいてくれた。何より----。
「二人のことを逮捕しないでくれて、ありがとうございます」
インゴとエメットの逮捕の件は、ローズが助けてくれたことが大きい。みんなが反対する中、唯一の肩を持ってくれたのがローズだった。