第18章 それぞれの道
「今回のことで、たくさんの人を巻き込んで、怪我までさせてしまって…一番知られたくなかったことまでバレて最悪です----正直に言うと、今も怖いです、二人のことが----このまま見送らないで、もう二度と会わない方がきっと楽でいいって----思ったんですけど、それじゃ、私は逃げたあの頃のままと変わらないなって…」
は震えそうになる体を押さえ込むように、ぎゅっと拳を握りしめた。
「それに…こんなことが世の中に知れたら、二人の仕事はどうなるんですか?今だって公私でバトルトレインを止めてますよね?----バトルを待ってる人たちにこれ以上待たせるなんて、バトルトレインのボスとして、どうなんですか?」
「…」
「あの場所は…二人にしか務まりません。二人を待ってくれている人たちのために、行ってください----そして、もっとバトルの腕を磨いてください。私ももっと強くなって…また倒しに行きますから」
「「!!」」
インゴとエメットは驚いたようにを見た。も困ったような、でも少しだけ微笑んで二人を見ていた。
「お前…」
インゴが何か言いかけた時、フェリーから大きな音が鳴った。もうすぐ出発する合図のようで、フェリーに載っていなかった乗客員が次々とフェリーに乗り込んでいった。
「次会う時までに、強くなっててくださいね」
「…ハハッ。ちゃんって、結構酷い事言うネ。今まで勝たせてくれなかったくせに」
「----行きますヨ、インゴ」
「ちょっと!インゴ!待ってっテ!!」
インゴはに背を向けると、振り返りもせずにフェリーへと向かってしまった。
「もう!カッコつけちゃっテ!なんか一言くらいちゃんになんか言えば!」
「え!?!」
「…」
エメットが叫ぶと、インゴは足を止めて振り返った。鬱陶しそうにエメットを睨みつけたあと、の方をチラリと見た。も何故か緊張してしまい、自然と体に力が入った。